~バガン便り~

バガンにあるサラトラベルの情報発信ブログ

ヤンゴンプレス9月号連載・バガン通信

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バガンには、単体として素晴らしいと思えるものがいくつかあります。

そのひとつにこのローカテイパン祠堂があります。この壁画をはじめて見たときは、立体的に広がる視覚的な美しさに立ち止まってしまいました。

 

~バガンの遺産・王朝壁画~

バガンの大きな魅力のひとつに、色彩豊かな壁画があります。

バガン朝を開いたアノーヤター王は、タトゥン国を滅ぼした際、多くのモン族の絵仏師を連行し、彼らに技術指導させました。バガンの壁画の中にモン語の文字が多く残るのはこのためです。

また芸術分野に限らず、既に仏教国となっていたタトゥン国のあらゆる文化を取り入れながら、新興国バガンは繁栄していったのです。

夕日で有名なシュエサンドーパヤーの近くにローカテイパン祠堂があります。12世紀前半に建立された基壇一層の小さな寺院で、ここではバガンで最も美しいとされる壁画を見ることができます。画題は仏伝図と本生譚で、釈迦八相図などが鮮明に残されています。

青や緑の色は消失してしまっていますが、鮮やかな僧衣の朱色が日本人には柿右衛門派の色合いのようで印象的です。

日本でいえば、間違いなく国宝級の貴重な壁画ですが、観光客の増加に伴い傷みの進行も加速しているものと思われます。

また、以前一度触れたことがあるミンカバー村のアベヤダナ寺院には、回廊の内壁部分にバラモン教の神像などが色彩豊かに描かれています。ミャンマー史では大乗仏教系となっていますが、これが何にせよ密教勢力をアノーヤターが排除したにも関わらず、その後建てられたこの寺院に密教系の壁画が残されているという事実は謎が多く、実はこの寺こそが歴史をひも解くキーポイントになるのではないかと考えています。

さらに余談ですが、チャンシッター王が王妃のために建立したといわれているこの寺院ですが、何故か密教系の壁画が残る寺院はほとんどが歴代王妃の寄進です。この辺りもまったくと言っていいほど説明されておらず、バガン朝史はロマンをかきたてます。

本来バガンの寺院の多くにこのような美しい壁画が描かれていたのでしょうが、時代が下るにつれて次第に失われていってしまいました。

他国の多くの遺跡と異なり、ミャンマー仏教の聖地であり現在まで信仰の対象であり続けるバガンにとって、遺跡保護の重要性はさほど感じませんが、壁画保存に関しては急務であるといえます。日本の東京文化財研究所などが支援計画を打ち出しているものの、開放したばかりのこの国で早急な対応を講じるのは容易ではないようです。

休みの日に登録番号しかない無名のパゴダに入ってみたりするのですが、真っ暗の中懐中電灯を照らすと、天井に仏画が広がっていて驚かされることがあります。

世界遺産になるのかならないのかという点ばかりが強調されるバガンですが、それ以前に貴重な遺産である千年前の壁画を保護する必要があることだけは確かなのです。

 

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