バガン&ホイアン便り - ミャンマー・ベトナム観光 情報ブログ

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現地旅行社しか提唱できないサステイナブル・ツーリズム

こんにちは。
今年2017年は国連が定めた「持続可能な観光の国際年(International Year of Sustainable Tourism for Development)」で、これはサステイナブル・ツーリズムを普及させていこうという意図があります。


このサステイナブル・ツーリズムというのは何かと言いますと、“環境悪化や文化継承の阻害、過度な商業化を回避することによって、観光地本来の姿を求めていこうという考え方”です。


これは、これまで観光発展してきた反省の中から生まれてきたものですが、私から言わせれば当たり前のことです。

 

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なぜ今更こんなことを提唱するかというと、これはつまるところ先進国の観光における「目に余る商業主義」を修正しようということです。


20世紀の観光の歴史を振り返ると、日本では伊香保だ城崎だと大量送客ツアーを送れるだけ送り、儲けるだけ儲けたあと、その結果多くの貴重な日本の遺産である温泉が涸れ、それを大衆には隠し、ポンプアップしてろ過してうめて、それでもなくなるとただの水を提供する。それを宿泊施設も旅行業者も知りながらまだ販売する。そんなことをしてきました。


なぜそうなるのか。

それは団体の送客で利益が出るからです。これはかつての日本も、現在のミャンマーでもどこでも同じです。


フィリピンのボラカイ島は世界1のビーチともてはやされ、近年のホテル建設ラッシュで小さな島の海が一気に汚れました。上空からの写真を見るとビーチを覆うように海水が汚水のようになっているのが分かります。地元の日本人の方が、「20年前はボラカイはきれいだった」と言っていたのが印象的でした。


カンボジアのアンコール遺跡の入場料が今年85%も上がりました。これはひとつには、あまりに団体客が多くて遺跡に悪影響があるから、観光客を絞ろうという意図があるのかもしれません。観光地化の弊害としては、世界中から観光客が押し寄せるために、次から次にホテルが建てられ深刻な人材不足に陥っています。また長いローシーズンのために旅行会社に囲われたガイドの収入が季節によって極端になっており、生活に大きな負担となっています。


バガンでも観光地化によって、仏教信仰に影響が出るのではないかと思っている人は多く、また地価の上昇によって将来家が持てなくなってしまうのではないかと危惧している声が多く聞かれます。


私はサステイナブル・ツーリズム自体は至極当然なことで、バガンもセーシェル諸島と同様観光客数制限をした方がいいと思いますし、遺跡保護をうたうなら、一切の一般車両の入域を禁止して決められた観光用車両だけにするとか、完全な保護区域にすればいいと思っています。


ただ、そういうことが実現する可能性は高くありません。なぜかというと、観光収入は国家にとって貴重な財源であり、これから発展していかなければいけない後進国にとっては、他国の押し付けなどわずらわしいだけです。また日本の大手代理店だけでなく、世界中に星の数ほどある旅行代理店にとってビジネスチャンスなので、このような崇高な考えに賛同できるわけがありません。


私は大手さんから嫌われていると思います(笑)。でもそれでいいと思っています。

サラトラベルは日本に本社がありませんので利益還元するところは現地バガンです。
あくまで現地住民の立場を代弁して、観光業をしながらなるべく今までのものを壊さず観光発展していけるように努力し、微力ながらそれを多くの人に伝えていけたらと思います。
それがバガンの人たちから学んだ考え方です。

 

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