バガン&ホイアン便り - ミャンマー・ベトナム観光 情報ブログ

ミャンマー&ベトナムにあるサラトラベルの情報発信ブログ

ロヒンギャ帰還合意に関連して

こんにちは。

本日久しぶりに明るいニュースといいますか、ロヒンギャ問題解決の糸口とも言えるミャンマー・バングラディシュ間における合意が交わされたという報道が入ってきました。

日本の報道を見ると何が本当か見えないので、現地ミャンマータイムス紙を見てみましょう(笑)。

www.mmtimes.com

 

f:id:saratravel:20171126205432j:plain


この記事の中で、ミャンマー国家顧問庁とバングラディシュ外務省の間でロヒンギャ族帰還についての合意が交わされたとしていますが、ミャンマー側はその時期について明言を避けた、と書かれていますので、詳細は未定ながらも今回はっきりと前進したことがわかります。

そして、政府は避難民のための集落をマウンド-タウンシップ内に新設し、居住できるようにするとしています。ただし、どの程度の数が帰還を認められるかについてはわかっていません。

今回のニュースではアウンサン・スーチーさん率いるミャンマー政府が、圧力を強める国際社会に譲歩した格好となりました。ミャンマータイムスの論調もたんたんと公表された事実を述べたようになっており、この問題の難しさを表しています。

さて、今後は逆に仏教徒に対する配慮が難しくなりそうです。
なにしろ今回の問題の発端は、ミャンマー人たちにとっては本来宗教問題でなく、隣国からの植民たちが引き起こしたスクワッター(違法移民)の問題だと認識されているわけですから、反発が出てくるかもしれません。

ところで横道にそれますが、わたしは度々ミャンマーの仏教には「上座部ナショナリズム」が強いと言ってきました。これは、私は政府の代わりに仏教が存在してきたためと理解していましたが、それを裏付ける東京外大教授である土佐桂子さんの講演がありますのでご紹介したいと思います。

研究会「ミャンマー」③ 土佐桂子さん講演(この下にPDF版があります)

www.youtube.com

 

ミャンマーにおける宗教政策(pdfダウンロード注意)

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/jnpc-prd-public/files/2012/04/367e864e1c6fbf37106e4614f804d100.pdf#search=%27%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A+%E3%83%9F%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC+%E5%9C%9F%E4%BD%90%E6%A1%82%E5%AD%90%27



バガン王朝時代も、後期に差しかかると上座部に寄進された土地が多くなってしまい、政府と仏教の間で土地所有権確認訴訟が頻発し、その多くで仏教が勝ったとされていますが、千年前から人心が仏教に強く傾倒してきた国であり、それを各時代の政府もコントロールできなかったところがあるので、現在まで仏教が絶対となるのは必然と言えるのかもしれません。

誰だって愛国心を穢されたり身内を侮辱されると怒るものです。
後進国、しかも最近になってようやく開国したばかりのミャンマーで、先進国がまとめて集中砲火を浴びせてミャンマーが悪いと圧力をかけるのは、戦前日本がやられたことに似ている気がして、現地で仕事をしている私からするとすごく気持ちの悪い思いをしてきました。

かつてパレスチナはテロリストの巣窟といわれ、衝撃的なニュースで話題を集めました。故アラファト議長はいまだテロリスト上がりの…という表現をされますが、国連での「どうか私の手からオリーブを奪わないでください」という演説は国際社会にテロと生存闘争の境目を考えさせました。その後パレスチナは国家として認められるようになりました。

私がここでパレスチナを取り上げたのは、いま現在私たちが見ているニュースというものは、どちらか側から見たものが多いので、実際に何が起こっているかは分からないと思うのです。どうしてパレスチナ問題が発生したのか客観的に正確に理解しようと思うと、まだまだ紛糾してしまいます。ロヒンギャ問題にしても、両極端の主張しかないような状態なので、将来どのような評価になるかも分かりませんが、何が正しいか、どちらが悪いのか、それ以前に結論がでるのかも分からないと思うのです。

私自身マウンドーに行ったわけではありませんし、この場で何か主張したいわけでもありません。ただ日本ではYAHOO!でロヒンギャ被害者への募金まで行われているようなので、報道する側が色をつけるとこうなってしまうのだろうか、という強い疑念があります。わからないという状態ではいけないのだろうかと。

いずれにしても、今回の前進ですべての人にとって幸福に一歩でも近づくよう願ってやみません。良い世界となるよう期待しましょう。
※すみません、今回は笑えませんでしたね。もうやめときます(笑)。

にほんブログ村 旅行ブログ ミャンマー旅行へ
にほんブログ村