仏像の中からまた仏像
バガン遺跡は11~13世紀に栄えた仏教都市です。そしてバガン王朝が導入した仏教の上座部は、現在に至るまで連綿と受け継がれ、それは一貫して続いているとされています。
ところが、バガン初期のものには、現在では説明がつかない不思議なものがいくつも発見されているのですが、そのひとつがこれです。
1枚目は最近発掘されたチャウセー近郊のタモテ・シンピン・シュエグジー寺院から出たもの。2枚目はオールドバガンにあるナッタ・シントゥー小寺院の本尊です。いずれも11世紀につくられたそうですが、オカルトチックでコワいですよね(笑)。
仏像の胸の中に仏頭が埋め込まれていますが、いまの上座部のお坊さんにはまったく理解できないでしょう。なぜこういうつくりなのか分かっていませんが、私の知る限りバガン時代のものとしてこの2つしか確認できていません。ただ、もしかすると11世紀の仏像には実は同じようなものが他にも存在している可能性はあります。
ひとつポイントとなるのは、いずれの仏像もインド系の顔だということです。これはバガン王朝初期にみられるタイプなのですが、今に伝わる上座部とは違う系譜の分派があって、その影響があったのだろうと推測できます。
いずれにしても、バガン遺跡の中にはこういった考古学的に説明がなされていない遺物があるというのが面白いところかもしれませんね。
※オールドバガンの小寺院の場所は次の場所ですのでご旅行予定の方は寄ってみてください(館内入場不可)。