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ミャンマーの空の安全を考える(1)ATR72-500/600 ※ヤンゴンプレス2015年9月号掲載「バガン通信」

ミャンマーの空の安全を考える(1)ATR72-500/600

 

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 2015年7月はミャンマー国内線で2度のインシデントがありました。1度目は7月14日ニャウンウー発ヤンゴン行きAIR KBZ/K7225便で、このフライトには私自身が搭乗していました。同便は離陸後30分経ったところで右エンジンが停止、ネピドーかヤンゴンに着陸するというアナウンスがあったものの、気象状況が良かったヤンゴンまで向かいました(片側エンジンのみでの滞空1時間というのは緊急着陸の範疇を超えた飛行時間という指摘もあります)。機材はATR72で、今年台湾で墜落した機材と同じものだったので不安でしたが、パイロットは非常に冷静で着陸まで丁寧に操縦していました。

 エンジントラブル自体はどこの国でもどんな機材にも起こることですが、本インシデントにおいては、機材が17年と古いことと私自身同機(XY-AJC)に以前から不具合を感じていました(普通ではない揺れを何度も経験していたので機体番号を覚えていたものです)。ちなみに同機はその後修理点検のために就航していないようです。このケースはミャンマー国内のテレビ局が取り上げましたが、新聞などでは報道されておらず、海外の航空インシデントなどにも載っていないので、事故として公表されていない模様です。

 もうひとつのケースは、7月24日マンダレー発ヤンゴン行きAIR BAGAN/W9424便がヤンゴン空港着陸時に悪天候で視界不良の中着陸に失敗、同機はオーバーランしたのち停止、けが人が出る事故となりました。こちらの事故はBANGKOK POSTなどが報道しましたのでインシデントとして取り上げられています。エアバガンは2012年にも死者を出す事故を起こしており、就航後11年で2度目の重大インシデントとなりました。

 

 航空安全を考える際、もっとも重要なことは「パイロットの技術」「機材メンテナンス」「運航管理」ですが、2番目と3番目は特にミャンマーが弱い部分だと思います。ATR72は事故が多いように思われることがありますが、小型プロペラ機の中でもっとも信頼のおける航空機とされており、評価も高いです。私は事故が起こるのは機体の問題というよりも、ATR72を保有する航空会社のほとんどが中小規模であり、安全管理に欠けていることに起因することが多いのではないかと思います。事実日本の航空会社も同機を導入したり、エアバス傘下に入ったこともあり最新の機種は2大メーカーのジェット機と比べ、短距離路線ではまったく遜色ないほどになっているのです。

 次に、ミャンマー国内線のATR72の経年数を航空会社別に見てみましょう。

 

AIR KBZ  9機(新機材:4機/14年~18年:5機)
AIR BAGAN 4機(16年~26年)
MANN YADANARPON  2機(新機材のみ)
YANGON AIRWAYS 3機(7年~19年)
ASIAN WINGS  4機(7年~17年)
AIR MANDALAY   1機(20年)
MYANMAR NATIONAL 4機(7年~25年)

 

 実はミャンマーの空を飛ぶ飛行機は、機齢15年以上という機材が過半数を占めています。一般に航空機の寿命は20年~25年と言われていますので、その多くが買い替えの時期にきていると言えます。また、メーカーであるATRにしてもボーイングやエアバスほどの歴史があるわけではないので、機材は新しいに越したことはありません。そして何よりもメンテナンスをしっかりやってきたのか?という点が大いに疑問に思うのです。ですので、私自身年間50回ほどATR72に乗るのですが、結論としましては最新の機材に乗るのがより安全に近いと思うわけです。

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